この記事では、有機ELと液晶どっちをテーマに書いています。
テレビの購入にあたってよく浮かぶ疑問「有機ELと液晶って結局、どっちがいいの?」。
モニターに違いがあることはわかりますが、それぞれの性能や特徴ははっきりと分かりにくいものです。
実は、有機ELと液晶にはどちらにも長所・短所があり、似て非なるものと言えるでしょう。
そこで今回は、「有機ELと液晶どっち」をテーマに特徴を解説し、どっちを選ぶべきなのかを徹底比較していきます!
有機ELと液晶どっちのテレビがいい?
それでは早速、有機ELと液晶ではどっちのテレビを選べばよいのか紹介していきます。
結論から言うと、アナタが何を求めるかによって異なります。
カンタンにまとめると、
映像美を追求するなら有機EL
コスパを重視するなら液晶がおすすめです。
もちろん、映像や価格以外にもそれぞれにメリット・デメリットがあるため、一概に上記に当てはめることはできません。
ただアナタがテレビに何を、どの程度求めるかによってどちらを選ぶべきかは変わります。
それぞれの特徴を解説していくので、アナタが求める性能やポイントを考えながら比較してみてください。
有機ELの特徴
有機ELとは、「有機Electro Luminescence(エレクトロ ルミネッセンス)」の略です。
有機エレクトロルミネッセンスとは、電圧をかけると素子が発光する現象のことを言い、この現象を利用するモニターなどのデバイスも含めて、有機ELと呼んでいます。
参考:Canon公式サイト
- 画質が良い
- 薄くて軽い
- 視野角が広い
- 残像感を軽減
- 目が疲れにくい
有機ELの最大の特徴はなんといっても画質の良さ。
7年ぶりのテレビ新調
— あまりりりりす🐔 (@Amaririlyllis) July 31, 2021
4K 有機ELがキレイすぎる……🤤 pic.twitter.com/drlWj3fLna
特に大きく違いが出るのが「黒色」の鮮明さです。
有機ELは「自発光方式」という、ディスプレイ自体が発光して映像を映し出すため、光を逃がさず美しい黒が再現できます。
一方、液晶ディスプレイはバックライトを使用しているため、わずかながら光が漏れてぼんやりした映像に。
有機ELであれば黒以外の色も鮮明に再現されるのでコントラスト比が高くなり、くっきりとした映像が楽しめます。
二つ目の特徴は、薄くて軽いこと。
先ほどの通り、有機ELはディスプレイ自体が発光するためバックライトが必要ありません。
通常7~10cmほど厚みがある液晶に対して、有機ELは厚さわずか1cm以下。
液晶では考えられないほど、テレビが薄く、軽量になっています。
有機ELは視野角が広いのも特徴です。
約180°の広い視野角があり、部屋のどの角度から見ても彩度がほとんど変わらないため、広いエリアで視聴可能。
また、有機ELは自発光するため応答速度が速く、残像感を軽減できるのも特徴です。
残像や動きのにじみを軽減し、動きがスムーズに見せるために必要な機能が「倍速機能」。
残像感がないことで、長時間視聴しても目が疲れにくいのも有機ELのうれしいところですね。
有機ELのデメリット
メリットの多い有機ELですが、注意するべき点もあります。
- 価格が高い
- 商品が限定される
- 画面が見づらい、映り込みが多い事がある
- 画面の焼き付きが起こる
- 消費電力が多い
有機ELは液晶と比べると製造コストが高くなるため、必然的に価格が上がります。
発売開始当初よりも安くなっているものの、やはり安いとは言えない金額です。
購入にはそれなりの資金が必要になるでしょう。
商品が限定されるという点は、有機ELは基本的に48型以上の大型テレビが主流です。
各メーカーで製造販売を行っていますが、まだまだ液晶に比べると種類が少ないのが実情でしょう。
また、有機ELのテレビは液晶に比べて画面が暗くなるため、明るい部屋や日差しが入る部屋では画面が見づらくなることも。
画面の素材もツルツルとした「光沢画面」を採用している機種も多いため反射が強く、暗いシーンでの映り込みが気になる場合もあります。
さらに、有機ELは液晶よりも「焼き付き」しやすいとされています。
焼き付きはテレビを消して少し待てば改善する場合もありますが、完全に焼き付いてしまうと直すことができません。
しかし、普通にテレビを視聴するのであれば、あまり過度に心配しなくても大丈夫です。
最近の有機ELテレビはパネルの異常を監視し、調整する機能があります。
有機ELの消費電力が小さいのは本当?
有機ELテレビの短所として、消費電力が多いことが挙げられます。
有機ELテレビは「白色に発光するELパネル」と「カラーフィルター」という部品を組み合わせて作られています。
白色発光ELパネルの光をカラーフィルターに通して映像出力するのですが、カラーフィルターを通過するとき、光を大きくロスしています。
光が失われると当然画面が暗くなってしまうため、光のロス分を見込んだより強い光が必要になり、結果として消費電力が高くなってしまうのです。
今後、電気代の高騰が避けられないなか、家計を圧迫する可能性があるでしょう。
ただ、有機ELのディスプレイって消費電力が小さいって聞いたことがあるけど…と思う方もいるかもしれません。
実は、それも間違いではありません。
スマホに使用される有機ELはテレビに使われるものとは方式が異なり、カラーフィルターを通さないため、消費電力が小さくなります。
よって、有機ELはテレビでは消費電力が多く、スマホでは消費電力が少ないということになります。
スマホを購入するときは、有機ELの方が消費電力が少ないと覚えておくとよいでしょう。
液晶の特徴
現在のテレビのスタンダードモデルである「液晶」。
バックライト、液晶パネル、カラーフィルターの三層構造からなっています。
バックライトを発光させた光を液晶パネルでコントロールし、カラーフィルターを通して映像を出力させています。
- 価格がお手頃
- サイズ、種類が豊富
- 消費電力が控えめ
液晶は生産性にすぐれているため、有機ELに比べて価格が安いのが特徴です。
価格は製品ごとに違うため一概には言えませんが、同じメーカーの同じサイズのテレビを同じ店舗で購入した場合、液晶の方が7~10万円ほど安く購入できるでしょう。
液晶テレビでは、多くのメーカーで製造販売を行っているためサイズや種類が豊富にあります。
より多くのラインナップから選びたいという方は、液晶の方がより選択肢が広がるでしょう。
また、液晶テレビはバックライトがあることにより、有機ELよりも消費電力が抑えられます。
電気代は製品や明るさの設定によって異なりますが、有機ELと比べて年間消費電力量で計算すると1,000円程度おトクになることが多いです。
液晶のデメリット
一方で、液晶がもつデメリットには以下の点があります。
- 色が鮮明でない
- 残像感が残る製品もある
- 視野角が狭い
- 厚くて重い
液晶は有機ELと比較すると、やはり色の鮮明さに欠けます。
特に黒はメリハリがないため、今までの液晶テレビでは暗いシーンが見づらい…と感じる方も多い。
参考までに俯瞰で撮った写真。
— 君国泰将 (@kunkoku) June 10, 2022
(画像の位置関係)
液晶ブラビア「X90J」 有機ELブラビア「A80J」
液晶ブラビア「X95J」 有機ELブラビア「A80J」
色再現性とか輝度とかコントラストとか、周囲の反射とか。
写真で見るよりも肉眼でみるとかなり違う。 pic.twitter.com/QAMCdcGl1C
液晶は応答速度が遅いため、残像感があることがあります。
もちろん、液晶でも上位モデルの製品は有機EL同様、「倍速機能」を搭載しているものもありますが、価格によりけりというのが実情です。
また、液晶画面は視野角が狭く、正面以外からの視聴が苦手とされています。
斜めや横から見ると、映像が白っぽく、薄く見えるためキレイに視聴できるエリアが限定されるでしょう。
更に液晶はバックライトがあるため「厚く重い」です!
より薄いテレビを求めるのであれば、有機ELを選んだ方がよいでしょう。
有機ELと液晶の性能差
ここからは、有機ELと液晶の性能差を見ていきましょう。
まずは、説明してきたことを表にしてまとめてみます!
特徴 | 有機ELテレビ | 液晶テレビ |
---|---|---|
画質 | ||
価格 | ||
薄さ・軽さ | ||
視野角 | ||
消費電力 | ||
製品の種類 |
上記を基に、実際に販売されている製品の比較をしていきましょう。
今回は同じメーカー・同じサイズの同等モデルで両者の性能を比較していきたいと思います。
- 画素数
- スピーカー
- 倍速機能
- 奥行き
- 重量
- 消費電力
- 年間消費電力量
まずはパナソニックのビエラから。
有機ELは「TH-55LZ1800」、液晶は「TH-55LX950」で比較していきます。
有機EL | 液晶 | |
---|---|---|
製品 | TH-55LZ1800 | TH-55LX950 |
画面サイズ | 55v型 | 55v型 |
価格(オープン価格)(円) | 256,000 | 182,000 |
スピーカー最大出力(W) | 80 | 60 |
倍速機能 | アリ | アリ |
ディスプレイ最薄部奥行き(cm) | 0.41 | 0.9 |
本体最大奥行き(cm) | 6.9 | 7.3 |
重量(本体のみ)(kg) | 約17.0 | 約19.0 |
消費電力(W) | 304 | 205 |
年間消費電力量(kWh/年) | 175 | 157 |
※価格はオープン価格となっているため参考程度に。
価格は液晶が70,000円ほど安く、やはり液晶はお手頃、有機ELはお高めという結果です。
続いてはスピーカー最大出力。スピーカーは液晶に比べて有機ELが進んでいると言われています。
出力のw数が大きいほど音を大きく出力でき、迫力が増すため、スピーカーについては有機ELが◎。
倍速機能はどちらもアリなので、ドロー。どちらでもなめらかな動きが楽しめますね。
ディスプレイの最薄部、本体の奥行きは有機ELに軍配。
液晶の半分以下を誇る有機ELのディスプレイの薄さは圧巻です。
重量についても有機ELが2kgほど軽くなっています。
消費電力・年間消費電力量は液晶の方が省電力で、エコと言えるでしょう。
続いてはソニーのブラビア。
有機ELは「XRJ-55A80J」、液晶は「XRJ-55X90J」で比較していきます。
有機EL | 液晶 | |
---|---|---|
製品 | XRJ-55A80J | XRJ-55X90J |
画面サイズ | 55v型 | 55v型 |
価格(オープン価格)(円) | 264,000 | 187,000 |
スピーカー最大出力(W) | 30 | 20 |
倍速機能 | アリ | アリ |
ディスプレイ最薄部奥行き(cm) | 0.59 | – |
本体最大奥行き(cm) | 5.3 | 8.1 |
重量(本体のみ)(kg) | 17.8 | 17.4 |
消費電力(W) | 347 | 208 |
年間消費電力量(kWh/年) | 183 | 193 |
価格はやはり液晶の方が、有機ELに比べて80,000円程度安くなっています。
スピーカーはわずかな差ではありますが、有機ELが◎。
倍速機能はどちらにもついているのでドローとします。
液晶のディスプレイの奥行きは記載がありませんでしたが、おそらく有機ELの方が薄いでしょう。
本体の奥行きは有機ELの方が薄く、コンパクトになっています。
重量はわずかながら液晶の方が軽い仕様。
消費電力・年間消費電力量も液晶に軍配。エコなのは液晶という結果になりました。
今回はパネルを比較していますが、メーカーで比較した記事も作成しています!
どのメーカーを買おうか検討している方は、ぜひ参考にしてください。
有機ELテレビをおすすめしたい方
メリットやデメリットを紹介してきましたが、「結局どっちを買うか迷ってる」という方もいますよね?
そんな方の為に、どんな人におすすめなのかを紹介していきますよ♪
- 高画質な映像を楽しみたい
- 広いエリアでテレビを楽しみたい
- 映画やスポーツの視聴が多い
- より薄型のテレビを求めている
繰り返しになりますが、有機ELテレビの魅力は何といっても画質の良さです。
漆黒の美しさは液晶では再現できないほどなので、画質にこだわる方にはやはり有機ELテレビがおすすめです。
有機ELは視野角が広いため、広いエリアから視聴を楽しむことができます。
場所を問わず見ることができるため、ファミリーなど複数人でテレビを囲む方にもよいでしょう。
映画やスポーツを見ることが多い人やアクションゲームなど激しいゲームをプレイする方も有機ELを選べば間違いないです。
性能差でもご紹介したパナソニックの一台「TH-55LZ1800」。
パナソニックが独自に設計・組み立てを行っている「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」を搭載しています。
有機ELの性能を最大限に引き出す独自の「Dot Contrastパネルコントローラー」により、さらに高いコントラストの映像を表現。
AI技術でシーンを判別して最適な音質に調整したり、映画館でも採用されている「ドルビーアトモス」に対応、臨場感ある音響も楽しめます。
パナソニックのビエラは大きなテレビでも倒れにくい、転倒防止スタンドがついていて小さな子どものいる家庭や地震の揺れなど、いざというときも安心です。
有機ELテレビで迷っているなら、買って損はない1台です♪
液晶テレビをおすすめしたい方
続いては、液晶テレビに関してです。
- コスパの良い製品を求めている
- 幅広い製品の中か選びたい
- 電気代を気にせずテレビを見たい
液晶の魅力はズバリ、コスパの良さです。
液晶のテレビは多少画質は落ちるものの、同じサイズの有機ELより7~10万円程度安くなります。
美しい映像は魅力的だけど、有機ELはちょっと手が届かない…という方には液晶テレビがおすすめです。
液晶でも、上位モデルであれば画質の良い製品はたくさんあります。
また、消費電力が小さいため、電気代を気にせずテレビをつけておきたい人も液晶がおすすめ。
今回ご紹介するのは東芝REGZA「55Z670K」
東芝の4K液晶レグザの「55Z670K」は高画質な映像を実現する「レグザエンジン」をさらに進化させた一台。
倍速機能を搭載していて映像のレスポンスの良さはもちろん、ノイズ低減の技術を加えているため、動きのある映像もクリアに美しく表現します。
動きのある映像の美しさを裏から支えているのが、新開発の「直下型高輝度LEDバックライト」。
倍速液晶パネルと併せて、液晶が苦手とされる動きの速いシーンもくっきり、なめらかに映し出します。
音響も充実しており、最大出力60Wのマルチアンプを採用。
こちらも「ドルビーアトモス」に対応しているため、映画館のようなサウンドを楽しめます。
液晶テレビでありながら、有機ELにも負けない映像・音質を楽しめる一台です。ぜひ購入してみてはいかがでしょうか。
まとめ
地デジ放送だけでなく、動画配信などで楽しむことが多くなったテレビ。
有機ELと液晶にはそれぞれに特徴や性能に差があるため、アナタにとって満足できる一台を選びたいですね。
質にこだわるのであれば有機EL、気軽に楽しみたいのであれば液晶、というのがもっとシンプルな選び方でしょう。
各製品の特徴をよく見比べて、ぜひ後悔しない一台を選んでくださいね。